Event Report
イベントレポート
「伊藤若冲 動植綵絵の色と描写」講演会
”私の絵は千年後に理解される―”という謎の言葉を残し、生命の世界を極彩色と精密な筆致で描いた江戸時代の天才絵師、伊藤若冲。
11月6日午後、伊藤若冲研究の第一人者であり、東京都市大学OBでもある早川泰弘氏を夢キャンパスに講師としてお迎えし、「伊藤若冲 動植綵絵の色と描写」と題した講演会が開かれました。
伊藤若冲は今年生誕300年を迎え、再評価の機運が高まっていることを裏付けるかのように、講演会には100名以上のご参加をいただきました。
会場には大きくて美しいパネルが展示され、以前、某飲料メーカーが作ったものの、あっという間に店頭から消えたという、幻の「伊藤若冲ラベル」ペットボトルも並べられていました。パネルはプロのカメラマンとライティングを何度も調整して撮影して作成したものというだけに、土台の絹の布目までくっきりとわかる精巧さ。残念ながら著作権等の関係から写真撮影はNGとのことでした。
講師の早川先生は東京都市大学電気工学科を卒業、同大学院工学研究科原子力工学専攻修了、新日本製鉄(株)ご勤務を経て、現在は東京文化財研究所 保存科学研究センターで文化財の非破壊調査法や日本絵画材料の変遷に関する調査研究をされています。今回の講演も「美術的」な観点からだけではなく、彩色材料の調査結果をもとに「動植綵絵」で使用された「顔料の成分」という切り口から、若冲のあの圧倒的な色彩表現の秘密に迫ってくださいました。
講演終了時の質疑応答では、会場からの熱心な質問に早川先生が真摯に答えるというラリーが何度も続き、参加してくださった皆さまの熱意が伝わってくるようでした。
新たな絵画の見方、楽しみ方を知り、ますます若冲ファンが増えること必須。同時に早川先生のファンも増えたのではないかと確信しています。
ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。
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